動物用医薬品製造販売業の基礎知識

改正薬事法において新設された許可で、製造業許可とは別のものです。製造販売業許可は、医薬品を日本国内市場に出荷する業者(元売り業者)、市場に対する最終責任を負う業者に対する許可です。つまり、製造販売業者は、製造所において適正な品質管理体制のもと製造(製造委託している場合には、その製造所における品質管理を管理監督すること。)されていることを管理監督する能力に加え、市場に出荷した製品を消費者がどのように使用しているか、不適切な使用はされていないか、また、常に副作用情報、クレーム情報、事故情報等を国内外から積極的に収集し、製品自体に問題がないか等分析し、適切な安全対策を行うことができる能力が求められます。
すなわち、市場に対する責任という意味で、製造販売業許可は、薬事法上最も重い責任が発生する最上位の許可に該当します。製造販売(元売り)する医薬品のクラスにより、第一種と第二種の許可の種類があります。

■ 許可の種類

第一種が最も許可要件のハードルが高く、第二種は少し条件が緩和されます。
(1)第一種医薬品製造販売業許可
   処方せん医薬品の製造販売(元売り)を行う場合。
(2)第二種医薬品製造販売業許可
   処方せん医薬品以外の医薬品の製造販売(元売り)を行う場合。

■ 許可の要件

製造販売業の許可を取得するには、(1)人的要件、(2)GQP、(3)GVPの3つの要件を同時に満たさなければなりません。

 

(1)人的要件(総括製造販売責任者)

製造販売業許可の事業所に常時配置しなければならない有資格者の基準

 

薬事法第17条に該当する次の者が必要です。
①薬剤師

 

※薬事法施行令第20条第1項第4号に掲げる医薬品(生薬を粉末、又は刻む工程のみ)のみを製造販売する事業所には薬事法施行規則第86条第1項に規定する次の者を配置することも可能です。
① 生薬の製造又は販売に関する業務(品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務を含む。)において生薬の品種の鑑別等の業務に五年以上従事した者
② 厚生労働大臣が①に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者

 

※医療用ガス類のみを製造販売する事業所には薬事法施行規則第86条第2項に規定する次の者を配置することも可能です。
① 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
② 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を修得した後、医療用ガス類の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に三年以上従事した者
③ 厚生労働大臣が①、②に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者


 

(1)-2 人的要件(品質保証責任者)
製造販売業許可の事業所に原則常時配置しなければならない責任者の基準


医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令(厚生労働省令第136号)第4条に該当する次の者が必要です。
①品質保証部門の責任者であること。
②品質管理業務その他これに類する業務に三年以上従事した者であること。
③品質管理業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者であること。
④医薬品等の販売に係る部門に属する者でないことその他品質管理業務の適正
かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること。

 


(1)-3 人的要件(安全管理責任者)
製造販売業許可の事業所に原則常時配置しなければならない責任者の基準


医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令(厚生労働省令第138号)第4条第2項(第一種)、第13条第2項(第二種)に該当する次の者が必要です。
①安全管理統括部門の責任者であること。(第一種のみ)
②安全確保業務その他これに類する業務に3年以上従事した者。(第一種のみ)
③安全確保業務を適切かつ円滑に遂行しうる能力を有する者。
④医薬品等の販売に係る部門に属する者でないことその他安全確保業務の適切
かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれのない者。

 


(2)GQP(医薬品の品質管理の基準)
医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令(厚生労働省令第136号)第二章に適合すること。
GQPの概要は次のとおりです。
■ 品質保証部門の設置
■ 品質保証責任者の設置
■ 製造販売する品目ごとに品質標準書の作成
■ 次の手順を規定した手順書の作成
  市場への出荷の管理
  適正な製造管理及び品質管理の確保
  品質等に関する情報及び品質不良等の処理
  回収処理
  自己点検
  教育訓練
  医薬品の貯蔵等の管理
  文書及び記録の管理
  他部門等との連携
■ 製造を他社に委託している場合の製造業者との取り決めに関する次の手順
  業務の範囲並びに製造管理及び品質管理並びに出荷手順
  製造方法、試験検査方法等の技術的条件
  定期的な製造販売業者による確認
  運搬及び受渡し時の品質管理方法
  製造方法、試験検査等の変更の事前連絡方法及び責任者
  製造、輸入、販売の中止、回収、廃棄等の措置に関する速やかな連絡方法
  その他品質等に関する情報
■上記に関連する記録

 


(3)GVP(医薬部外品の製造販売後安全管理の基準)
医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令(厚生労働省令第135号)第二章(第一種)、第三章(第二種)に適合すること。製造販売する医薬品により、関係する部分が適用されます。
GVPの概要は次のとおりです。
■安全管理業務部門の設置 (第一種のみ)
■安全管理責任者の設置
■支店、営業所等に安全管理実施責任者の設置 (第一種のみ)
■次の手順を規定した手順書の作成
  安全管理情報の収集方法
  安全管理情報の検討及びその結果に基づく安全確保措置の立案
  安全確保措置の実施
  安全管理責任者からの総括製造販売責任者への報告
  安全管理実施責任者から安全管理責任者への報告
  市販直後調査
  自己点検
  教育訓練
  製造販売後安全管理の業務記録の保存
  その他の処方せん医薬品の製造販売(元売り)に係る業務の責任者との相互連携
■製造販売後安全管理に関する業務者の責務及び管理体制の文書化
■安全確保業務の文書化 (第一種のみ)

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